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飯田医師の痔瘻に対する新手術“開放くりぬき術”に関する記事が日刊県民福井に掲載されました。記事そのものは、残念ながら著作権が関係するためここには掲載できません。閲覧ご希望の方は2025年8月22日付の日刊県民福井をご覧ください。 その記事の概要を以下に記載いたします。
「痔瘻」は、昔から、手術をしても治らないことが多く、治っても再発が多く、おまけに手術の後、便失禁(便のもれ)をきたすことが多く、非常に厄介な病気と考えられてきた。この厄介な病気に対し、飯田医師が独自に考案した術式を検討した論文がこのほど、国際雑誌「Updates in Surgery」に掲載された。標準術式より、術後の便失禁がはるかに少なく、高い治癒率を維持するなどの利点を挙げている。痔瘻は、自然に治ることや有効な薬はなく、手術が必要で、放置すればまれにがん化する例もある。主な術式には、瘻管に沿ってメスを入れて開放する「切開開放術」、管だけをくりぬいて縫合する「くりぬき術」などがある。「切開開放術」は標準術式であるが、括約筋を切断するため肛門の締まりが悪くなるリスクが高く、「くりぬき術」は術後にきずがはじけて、また痔瘻となってしまうケースが多かった。飯田医師が開発したのは、この二つの術式のいいとこどりをした「開放くりぬき術」。飯田医師は、この術式を1989年から2023年までに618人に実施。全体の治癒率は97・7%、再発率は0・7%にとどまった。懸念される便失禁については、硬い便が漏れたケースはゼロで、下痢時にときに漏れを経験した患者は4人(0・7%)だった。現在、世界の標準術式とされる「切開開放術」の治癒率は92~98%、再発率は0・85~2%、術後の便失禁は4~12%とされる。飯田医師は「便が漏れるのは、再発よりも深刻な問題。括約筋を温存できるこの方法は、日常生活の質を大きく損なわない点が最大の利点」と強調。論文の掲載をきっかけに「開放くりぬき術が、少しでも多くの医療現場で採用されてほしい」と話している。
2025年8月22日 日刊県民福井より